Major countries 主要国情報
中東欧地域主要6カ国について
中東欧地域の主要6カ国の基本データから投資環境に関する情報までご紹介します。
Bulgariaブルガリア
日本ではヨーグルトとバラのイメージで知られる欧州最奥国の一つ。食糧自給率は170%を超えるなど農業国としての一面を持ちますが、近年は工業育成も盛んです。近代期にはロシアの露土戦争勝利により、トルコ影響下からの独立を果たしたことから、首都ソフィアには当時のロシア兵をたたえるアレクサンドル・ネフスキー大聖堂がブルガリア正教会の本山としてそびえています。
基本情報
- 首都
- ソフィア
- 人口(千人)
- 6,976
- 実質GDP成長率
- 3.70%
- 平均額面所得(ユーロ換算)
- 651€
- 失業率
- 4.20%
- 在留邦人数
- 176人
- 日系企業進出数
- 35社
投資環境
- 外国投資促進機関
- Invest Bulgaria Agency
EU圏内でも特筆すべき賃金水準を強みに、主に自動車サプライヤー系を中心に誘致に成功。一方で潤沢とは言えない人口構成から、近年はハイテク分野の育成にも注力しており、日系ゲームメーカーの進出等も実現しています。最大の輸出相手国はドイツですが、二番目にロシアの名前が挙がっていることから、歴史的背景に基づいた独自の対外関係にも特徴があります。
Hungaryハンガリー
首都ブダペストは、ドナウ川沿いの自然と歴史的建造物が融合した景色が広がる風光明媚な立地。温泉などの保養施設も数多く、中東欧地域でも有数の観光客数を誇ります。ハンガリー語は他の欧州系言語とは一線を画したユニークさを誇りますが、オーストリアとの二重帝国時代のなごりもあり、その話者はセルビアやルーマニアにも居住しています。かつてハプスブルク家に次ぐ勢力であったエステルハジ家の庇護もあり、ヨーロッパ音楽においても重要な位置を占めているのが特徴です。
基本情報
- 首都
- ブダペスト
- 人口(千人)
- 9,771
- 実質GDP成長率
- 4.60%
- 平均額面所得(ユーロ換算)
- 1,131€
- 失業率
- 3.40%
- 在留邦人数
- 1,779人
- 日系企業進出数
- 174社
投資環境
- 外国投資促進機関
- Hungarian Promotion Investment Agency(HIPA)
2004年のEU加盟直後から積極的に非ヨーロッパ系企業の誘致を行い、日系含むアジア系自動車サプライチェーンの形成に成功。さらに最近はEVの潮流に乗り、リチウムイオン分野での投資促進も実現しています。「欧州回廊(European Corridor)」と自賛するとおり、西欧と東欧の間に位置しており、その特徴を投資家へのアピールポイントとすべく縦横無尽に高速道路網を張り巡らせています。
Polandポーランド
国土、経済力共にEU中東欧地域最大を誇り、チェコ、ハンガリ、スロバキアと共にOECDへの加盟も果たしています。スペインに次ぐ人口規模も有しており、国内消費市場も急速に成長を示す中、西欧を中心としたEU理念に疑問を投げかける機会と存在感を見せつつあります。ウクライナやベラルーシからの人口流入がある一方で、無数の製造会社が展開する南方地域では極度な失業率低下も発生しているのが現状です。
基本情報
- 首都
- ワルシャワ
- 人口(千人)
- 38,397
- 実質GDP成長率
- 4.50%
- 平均額面所得(ユーロ換算)
- 1,144€
- 失業率
- 3.30%
- 在留邦人数
- 1,848人
- 日系企業進出数
- 356社
投資環境
- 外国投資促進機関
- Polish Investment and Trade Agency(PAIH)
隣国ドイツとの関係はもとより日本や韓国からの進出も多く、中東欧地域における日系企業の最大の受け皿となっています。近年は人材難への対処と国内産業の高度化に舵を取り始めており、純粋な製造拠点から統括会社や研究開発施設の誘致へとステージを変えつつあります。特に分厚い助成システムを提供しており、韓国系メーカーがインキュベーターを設立。地場系車両メーカーやスポーツブランドは国外市場における存在感も増しています。
Romaniaルーマニア
中東欧地域唯一のラテン系国家であり、経済的にもフランスやイタリアといった国々と緊密な関係性を有しています。カルパティア山脈と黒海に挟まれた国土は著しく多様な自然に恵まれており、西欧圏を中心とした観光需要とそれに伴う急速なインフラ整備が進行。隣国ハンガリーが独自路線を強調する一方で、明確な親EUの立場を取っていることも特徴であり、ポーランドに次ぐ中東欧の大国として存在感を示しつつあります。
基本情報
- 首都
- ブカレスト
- 人口(千人)
- 19,366
- 実質GDP成長率
- 4.20%
- 平均額面所得(ユーロ換算)
- 1,023€
- 失業率
- 3.90%
- 在留邦人数
- 362人
- 日系企業進出数
- 117社
投資環境
- 外国投資促進機関
- InvestRomania
東欧地域最大の貿易港(コンスタンツァ港)を持つことと物流インフラが整ってきたことに伴い、製造拠点が急増傾向に。国内総固定資本形成に対する製造業の割合は中東欧最大の約25%を示しており、新興工業国として日系企業の進出も活発化しています。加えて、EU圏で最も厚い投資助成制度を誇り、近年ではAmazonのエンジリニアリング拠点設立やロンドン証券取引所のバックオフィス移転といったサービス分野での伸長も顕著になっています。
Serbiaセルビア
かつてイタリアを越える経済規模を誇った旧ユーゴスラビア連邦の系譜を受け継いでおり、西バルカン最大の都市ベオグラードを首都として構えます。EUへの帰属性を高めている一方で、中国やアラブ諸国からの資本を積極的に受け入れ、目覚ましい発展を遂げていることから、産業界からの関心も高まりを見せている一国です。JICA等との積極的な関わりから、かねてより親日意識も高く、日本語学科を設置する大学も複数存在します。
基本情報
- 首都
- ベオグラード
- 人口(千人)
- 6,945
- 実質GDP成長率
- 4.20%
- 平均額面所得(ユーロ換算)
- 643€
- 失業率
- 10.40%
- 在留邦人数
- 159人
- 日系企業進出数
- 28社
投資環境
- 外国投資促進機関
- Development Agency of Serbia (RAS)
豊富な助成制度とEU諸国への近接性・物流面での利便性を強みとしてここ数年大型の進出案件を実現しています。EUに属する東欧諸国が直面する人材の海外流出懸念が少ないため、長期的な投資計画への好条件として捉えられる傾向にあります。最近は中国や日本からの直接投資が拡大していることもあり、進出に関する問い合わせが著しく集中している国の一つです。
Ukraineウクライナ
ロシアとEUのはざまという要衝に位置するウクライナは、四千万人を超える人口を有し、東欧圏で最も広大な国です。近年は政情不安から多くの人々が近隣地域へと移住したものの、首都キエフを中心に状況は沈静化が図られています。政府は医療やガバナンス分野でのデジタル化に取り組むなど、旧態依然とした体制からの変革に着手しています。
基本情報
- 首都
- キエフ
- 人口(千人)
- 42,028
- 実質GDP成長率
- 3.20%
- 平均額面所得(ユーロ換算)
- 363€
- 失業率
- 8.20%
- 在留邦人数
- 231人
- 日系企業進出数
- 36社
投資環境
- 外国投資促進機関
- Ukraineinvest
いわゆるウクライナ危機に端を発し、ポーランドやロシアへの人口移動が発生したものの、引き続き潤沢な人的資源を維持。加えて、平均所得が廉価というメリットを生かし、労働集約型企業の拠点展開が促進されています。また地理的にも肥沃な黒土に覆われており、農業分野での研究開発拠点が多くみられることも特徴の一つです。EUと国境を接する地域では、特定分野におけるEU主導での助成制度も発足しており、際立った国の発展が進んでいる状況です。